大野町公立認定こども園
長さを活かしたリニアで明るいこども園
将来の人口推移や町情勢を踏まえ、老朽化した町内の公立認定こども園2園を閉園し、現大野町南こども園を建替えて定員60名の公立統合園とする計画である。 計画にあたり、町や先生たちからは、子どもたちが友達とふれ合いながら伸び伸びと過ごすことができ、先生たちが見守りやすい見通しの良い計画とすることを求められた。 現状の園庭の大きさを保持しながらも、できるだけ多くの保育室が南面採光になるように、建物をなるべく長く、更に保育室が並ぶ園庭側は道路に対して斜めに配置している。細長く配置した建物は北西からの寒風「伊吹おろし」をブロックし、これまでは強風で開けられなかった保育室の窓を開けることができる。そのため保育室と園庭に対して、内外とも開かれた環境を生み出すことに寄与している。 細長い建物を長辺方向にさらに分割したような平面、屋根とし、長さを活かした計画としている。一方でコンパクトな平面計画とするために中廊下型とし、園庭側の通路やテラスから、保育室や遊戯室、職員室を配置し、中廊下を挟んで道路側に調理室、倉庫、一時預かり事業を行う部屋(以下、一時預かりと称する)を計画している。 園庭側と道路側で角度を変えることで、中廊下において玄関から奥行き方向を見ると一時預かりやプレイコーナーがアイストップとなり、目に留まりやすいスペースとなっている。また、中廊下沿いには収納とベンチなどが一体となった居場所をつくる家具や廊下と一体的に利用できる遊戯室やプレイコーナーを配置することで、廊下が異年齢保育の場としても活用できる計画としている。 更に中廊下は、棟ラインを蛇行させることでハイサイドライトから多様な光を取り入れ、1日を通して光と共に変化のある居場所となるように計画している。 外部の計画では、道路と平行にエントランスを設けることで園児が道路に直接飛び出しにくい安全なアプローチとし、搬入ヤードに対しては歩車分離を確立しながら搬入しやすい動線計画としている。 屋根形状は園庭側の片流れの頂部の高さを変えることで、道路側には自然と切妻形状があらわれてくる、伊吹山の山並みに連続するような計画となっている
大野町立認定こども園プロポーザル 最優秀賞
期間:2023.07-
用途:こども園
敷地面積:4,835㎡
建築面積:750㎡
延床面積:750㎡
階数:平屋
構造:木造
構造設計:片岡構造
設備設計:環境設備計画
サイン計画:hokkyok
共同設計:カイトアーキテクツ、CEMプトラ建築設計